法定休日とは、労働基準法が定める、労働者に必ず与えなければならない休日をいいます。労働基準法は、1週間に最低1日、そうでなくとも、4週間で4日以上の休日の付与を義務付けています。
・労働基準法35条1項 「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。」
・同条2項 「前項の規定は、四週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。」
これに対して、法定外休日とは、使用者が任意に労働者に与える休日をいいます。使用者は、法定外休日を労働者に与えないこともできます。もっとも、現在では、法定外休日を1日付与した、週休2日制を採用している企業が多いです。
使用者が労働者に法定休日を与えない場合、労働基準法に違反し、処罰される可能性があります。他方で、法定外休日については、これを労働者に与える義務はありませんので、これを与えなくとも処罰されることはありません。
・労働基準法119条 「次の各号のいずれかに該当する者は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
1号 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第35条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者」
*土日どちらが法定休日となるか 週休2日制の場合、1日は法定休日、もう1日は法定外休日となります。多くの企業では、土曜と日曜が休みになっていると思われます。 ところで、土曜と日曜が休日となっている場合、どちらが法定休日となるかについて、労働基準法に定めはありません。この点、労働契約や就業規則に明確な定めがあれば、指定された日が法定休日となります。定めがない場合について、裁判例では、日曜日を法定休日とするのが社会通念に合致することから、日曜日を法定休日とする黙示的な定めがあるとした裁判例があります(東京地判平成23年12月27日。HSBサービシーズ・ジャパン・リミテッド事件)。 |
法定休日か、法定外休日かの区別が大きな意味を持つのは、➀36協定の締結が必要か否か➁割増賃金(残業代)支払義務の有無についてです。
まず、法定休日に労働をさせる(法定休日労働)には、いわゆる36協定が必要です。36協定とは、法定労働時間を超えた労働(法定時間外労働)及び法定休日労働を適法に行うために、締結しなければならない協定のことをいいます。他方、法定外休日に労働(法定外休日労働)をさせるためには、36協定は不要です。
*36協定の解説はこちら。
*法定労働時間の解説はこちら
次に、法定休日労働を行った場合、割増賃金を労働者に支払う必要があります。
・労働基準法37条1項・・・使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
・労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令・・・労働基準法第37条第1項の政令で定める率は、同法第33条又は第36条第1項の規定により延長した労働時間の労働については2割5分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については3割5分とする。
ここでいう「休日」は、労働基準法35条のいう休日、すなわち法定休日を指します。そのため、法定休日に労働させた場合には、割増賃金が発生するのです。他方で、法定外休日については、同条のような規定は存在しないので、法定外休日に労働をさせたとしても、同条による割増賃金は発生しません。
例えば、時給1000円の労働者が、法定休日とされている日曜日に8時間労働した場合、1000*8*1.25=10000円(2000円が割増賃金に該当)を支払わなければなりません。他方、法定外休日の土曜日に8時間労働した場合には、1000*8=8000円を支払えば良いこととなります。